以前、ヨーロッパ旅行に行った人にお土産として西洋ノミをもらったことがあります。ロンドンに立ち寄った時にわざわざ専門の道具屋で買い求めたモノをいただいたのですが、その時のお話しが面白かったので紹介します。そのロンドンの道具屋では、偏屈そうなオヤジが一人で店番をしていたそうです。日本では、道具屋のオヤジは偏屈と相場は決まっておるのですが、ロンドンでもそういうことになっているようです。その偏屈オヤジにショウケースの中のノミのセットをくれと言ったところ、その偏屈オヤジが「お前日本人か?」と聞くではありませんか。「そうだ。」と友人。「日本人がなんでうちの国の刃物なんか欲しがるんや?」友人「・・・?」「日本の刃物はメチャクチャようキレるのにわざわざうちの国のなまくら刃物を買うことないやろ。」(もちろんこの偏屈オヤジは実際には関西弁を話しておりません。悪しからず。)友人「家具を作っている友人のお土産にしたいんやけど。」「そんなもんプロにこんな刃物土産にしてどうするねん!」とオヤジ。さんざんこんな押し問答を続けたあげく、渋々その偏屈オヤジはノミのセットを売ってくれたそうです。このように欧米では日本の刃物の評価がとても高いのです。
さて、せっかくお土産をもらってもこんな土産話付ではビミョーなのですが、先ずはいただいた刃物を研いでみました。結構硬い刃物で研ぐのに少々手間取ったので、「ひょっとして案外キレるかも?」と期待して木っ端の端っこを削ってみると何か変です。キレているような、キレていないような独特の感触です。そこで穴を掘ってみると何と実にアッサリ刃が欠けてしまいました。ロンドンの偏屈オヤジがグズグズ言うはずです。やはり、日本の刃物の切れ味は別次元であるようですな。日本の木工技術は世界一であると決して思いませんが、この時ほど、日本で木工をやっていてホンマに良かったと思ったことはなかったのでした。
2013年2月15日金曜日
日本の刃物
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大槻先生
返信削除面白いお話ですね。イギリスの道具屋の偏屈オヤジも面白いですね。シェフィールドの刃物と言えば何か切れ味が良さそうな感じですが。恰好も刃先が日本の鑿と比べて随分長いですね。
刃がこぼれやすいので、グラインダーで何度も研ぐために長いのでしょうか?
日本の刃物はやはり粘りがあって、切れ味も良く、日本刀の技術がいまだに生きているのでしょうか?
刃物と言えばドイツが有名ですが、ドイツのノミの切れ味はいかがなものでしょうか?
西宮市のSより
西宮のSさんいつもコメントありがとうございます。
返信削除道具屋の偏屈オヤジというのは万国共通のようです。
さて、ワタクシも西洋の刃物のことは解らないのです。ドイツの刃物のこともさっぱり解りません。
地金に鋼を付けて鍛造するいうのが日本の刃物なのですが、粘り強さと鋭さを両立させたモノということのようです。諸外国ではやっていないのでしょうか。
とにかく日本の刃物は世界中で人気のようです。